お知らせ
2024.11.18
工作物石綿事前調査者はいつから?2026年1月から義務化する新制度を解説
石綿(アスベスト)による健康被害が社会問題となって久しい中、新たな規制が導入されることになりました。
2026年1月1日から、特定の工作物の解体・改修工事において、「工作物石綿事前調査者」による調査が義務化されます!
この記事では、新制度の概要、開始時期、対象となる工作物、資格取得方法について詳しく解説します。アスベストに関わる事業者は、早めに対策を進めておきましょう。
工作物石綿事前調査者とは?
工作物石綿事前調査者とは、特定の工作物において石綿の使用の有無を事前に調査するための専門資格です。
新設された資格のため、まだ取得していない関係者も多いです。しかし、将来的に必要になってくるため、この記事を読んで学んでいきましょう。
※既存のアスベスト関連資格については、「【違いを解説】石綿作業主任者と石綿取扱作業従事者、建築物石綿含有建材調査者とは?」の記事でも紹介しています。
工作物石綿事前調査者は2026年1月1日から義務化
工作物石綿事前調査者による調査が義務化されるのは、令和8年(2026年)1月1日からです。
この基準日以降、特定の工作物の解体や改修工事を行う際には、工作物石綿事前調査者の資格を持つ者が石綿の有無を事前調査することが必須となります。
工作物石綿事前調査者制度はなぜ導入された?
日本では高度経済成長期に多くの工業施設や構造物が建設されました。これらの工作物の多くが老朽化し、解体や改修の時期を迎えています。
しかし、1975年頃までに建設された工作物には、耐熱性や耐久性に優れた石綿が広く使用されていました。
そのため、工作物の解体・改修工事でアスベストの飛散が起きないよう、アスベスト含有状況を専門的に調査できる人材の育成と、その調査の義務化が決定されたのです。
工作物石綿事前調査者の資格が必要となる工作物は?
工作物石綿事前調査者による調査が必要となる「特定工作物」とは、石綿を含有する可能性が高く、解体・改修時に石綿飛散のリスクが特に懸念される工作物を指します。
対象となる特定工作物には、以下のようなものがあります。
- 反応槽
- 加熱炉
- ボイラー及び圧力容器
- 配管設備(建築物に設ける給水設備等は除く)
- 焼却設備
- 煙突
- 貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備は除く)
- 発電設備(太陽光発電及び風力発電は除く)
- 変電設備や配電設備など
これらの特定工作物の解体・改修工事を行う際には、工作物石綿事前調査者による調査が必須となります。
工作物石綿事前調査者の資格取得方法
この資格を取得するには、合計11時間程度の工作物石綿事前調査者講習を受講し、80分程度の筆記試験をパスする必要があります。筆記試験の合格基準は、正答率約60%以上です。
登録講習機関数は5機関あり、全国の施設で受講と試験を受け付けています。
詳しくは厚生労働省・石綿総合情報ポータルサイトの「講習会情報」をご確認ください。
【まとめ】工作物石綿事前調査者は2026年1月1日から義務化!
今回の記事では、工作物石綿事前調査者制度について解説しました。
この制度により、特定の工作物の解体・改修工事における石綿調査が、資格を持つ専門家によって行われることが「義務」となります。
事業者にとっては、コスト増加や業務プロセスの変更など、一定の負担が生じる可能性があります。ただ、アスベストの専門家に任せることで、安全性に配慮した対策が行われ、石綿による健康被害がさらに減少することが目指されています。
なお、お知らせ欄に投稿したように、当社でも工作物石綿事前調査者の資格取得を進めております。何でもご相談ください。