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2024.11.19
アスベストは今もある!使われている建物の年代は?
日本では、2006年にアスベストを含む製品の製造や使用が全面的に禁止され、今では解体や改修工事を行う際には事前調査が義務付けられています。
しかし、健康への危険性が広く知られるようになった今でも、2006年9月1日以前に着工された建物ではアスベストが残存しているのも事実。
今回の記事では、アスベストが使用されている可能性がある建物の年代や、今もなお存在する理由、法的背景について解説します。
アスベストは今もある!使用されてる可能性がある建物の年代は?
繰り返しになりますが、アスベストは一部の建物で今も存在しています。
ただし、建築年代によって使われている可能性は変わってきます。
2006年9月以降に着工した建物にはアスベストは含まれない
2006年9月の法改正から、アスベストを含む製品の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止となりました。よって、それ以降に着工された建物には、アスベストはありません。
逆に言うと、それ以前に建てられた住宅には、アスベストが使用されている可能性があります。
アスベストが使われている年代は?
日本では、アスベストの危険性が徐々に認識され、1970年代から規制が始まりました。
具体的な流れは以下の通りです。
年 | 規制内容 |
---|---|
1975年 | 石綿吹き付け作業など一部使用制限 |
1995年 | 幅広いアスベスト製品が規制対象に追加 |
2006年 | アスベストの製造・使用等が全面的に禁止 |
そもそも、アスベスト使用が始まったのは1950年代と言われています。(参考:環境再生保全機構)
そこから、本格的に使用禁止される2006年までの古い建物では、アスベストが使われている可能性があります。
もちろん、これはあくまで一般的な目安であり、個別に調査してみないとわかりません。
アスベストが今もある理由は?
アスベストの危険性が認識され、使用が禁止されたにもかかわらず、今もなお多くの建物に存在しています。なぜでしょうか?
①法規制は段階的に進められてきた
アスベストの有害性は、海外から少しずつ明らかになってきたため、法規制は段階的に進行しました。
1970年代から1990年代にかけて、アスベスト関連の規制が強化されていきましたが、急速に進められたわけではありませんでした。日本にて全面的な使用禁止に至ったのは2006年で、さらに、移行措置を含めて完全に全面禁止となったのは2012年です。
②飛散しなければリスクは低い
アスベストは飛散して吸い込まれることで健康被害を引き起こしますが、逆に言うと飛散しなければ一定の安全性は保たれています。解体や改修などでアスベストが空気中に飛散しなければ、危険性は低いのです。そのため、多くの古い建物ではアスベストが今もある状態となっています。
③アスベスト含有製品の長い耐用年数
アスベストは非常に耐久性が高く、耐火性や断熱性、耐久性などの点で優れた特性を持つため、かつては理想的な素材とされました。幸か不幸か、アスベストを使用した建材や製品は、数十年にわたり使用されることが前提で設計されており、現在でも古い建物にアスベストが残っているのです。
④取り壊しや改修にかかる高額なコスト
アスベスト除去には、専門的な技術と厳格な法規制に基づいた処理が求められるため、費用が高くなります。一部の建物所有者や企業は、高額なコストを理由に、アスベストが使用されている建物の解体や改修を先送りにしているケースもあるでしょう。
アスベストが含まれているかどうかは専門家の判断が必要
アスベストの含有を確実に判断するには、専門家による調査が不可欠です。
本記事の前半部分で、アスベスト規制の変遷を紹介しましたが、建築の年代だけではアスベストの有無を確定できません。
- 同じ時期の建物でも、使用された建材は大きく異なる
- 後年のリフォームでアスベスト含有建材を使用した可能性がある
- アスベスト規制前でも、含有していない建材を使用した可能性がある
よって、資格を持つアスベストの専門家が、事前調査を行うことが義務付けられています。最終的には、個別に確認してみないとアスベスト含有リスクはわからないのです。
【まとめ】アスベストは今も日本中にある!適切な対策を!
今回の記事では、アスベストは今もあるのか…その背景や理由について解説してきました。
2006年9月1日以前に着工された建築物には、今もアスベストが存在する可能性がおおいにあり、特に1970年から1980年代の建物では使用されているケースが少なくありません。
建築の年代だけでアスベストの有無を判断することはできないため、特に解体やリフォームを行う際には、専門家による事前調査を必ず実施しましょう。
近年、アスベスト対策に関する法規制はさらに強化されています。アスベストに関する不安や疑問がある場合は、専門家に相談しましょう。