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2026.02.04
アスベスト労災の補償・給付金ガイド|救済制度・建設アスベスト給付金制度との違いを解説
「昔の仕事のせいで、アスベスト関連疾患になったのでは?」
「退職後でも補償は受けられる?」そんな不安を抱えていませんか。
アスベストは、吸い込んでから数十年という潜伏期間を経て、重い健康被害をもたらします。
もし仕事中の吸引が原因で発症したなら、労災保険制度から補償を受けられる可能性があります。
会社が倒産していても、すでに退職していても、諦める必要はありません。
本記事では、アスベスト労災の補償内容や、その他の制度との違いを分かりやすく解説します。
あなたとご家族を守るための情報として、ぜひ最後までご覧ください。
アスベスト労災の主な対象疾病

労災認定は、医学的に関連が認められる石綿関連疾病への罹患が前提となっています。
代表的な疾病は次のとおりです。
- 中皮腫:胸膜や腹膜などに発生する悪性腫瘍。多くがアスベスト曝露と関連
- 肺がん:医学的知見から石綿曝露との因果関係が認められるものが対象
- 石綿肺:長期間の曝露により肺が線維化し、硬くなる病気
- びまん性胸膜肥厚:胸膜が広範囲に厚くなり、呼吸機能が低下する病気
- 良性石綿胸水:胸腔内に液体がたまり、胸痛や呼吸困難を生じる病気
(関連記事:アスベスト関連症状はいつ出る?時期や曝露歴の傾向を徹底解説)
職歴や作業内容、画像所見などを総合的に確認し、労働基準監督署が労災に該当するかどうかを判断します。
アスベスト労災で受けられる主な補償

労災認定されると、以下の給付を受けられる可能性があります。
金額は、疾病の状態や障害の程度、発症前の賃金などで決まります。
- 療養補償給付:治療費は原則自己負担なし。検査や投薬も対象
- 休業補償給付:療養で働けない期間、賃金の約8割相当を支給
- 障害補償給付:治癒後に障害が残った場合、程度に応じて年金等を支給
- 遺族補償給付:亡くなられた場合、遺族の生活を支える年金等を支給
給付額は、発症(または退職)前の賃金をもとに算出されます。
すでに退職している場合や、会社が倒産していても申請は可能です。
職業曝露でなくても対象となる「石綿健康被害救済制度」

アスベストによる健康被害は、職場だけで起きるとは限りません。
次のようなケースも想定されます。
- 近隣曝露:アスベスト製品の工場周辺に居住し、粉じんを吸い込んでいた
- 家庭内曝露:従事者の作業着を洗濯するなどして、家庭内で吸い込んだ
以上のように、労災対象外の被害者を救うための仕組みが、石綿健康被害救済制度(石綿救済法)です。
環境再生保全機構が運営し、認定されると医療費自己負担分の補償や療養手当、遺族への給付金などが支給されます。
一般的には、労災保険の方が給付の種類・水準ともに手厚いため、まず労災保険の対象かを確認したうえで、救済制度を考える流れが望ましいでしょう。
建設アスベスト給付金制度のポイント

建設現場で含有建材を扱っていた方は、別途建設アスベスト給付金制度の対象となる可能性があります。
建設アスベスト給付金制度は、国の規制不備を認めた最高裁判決を受け、建設従事者や遺族へ一時金を支給する制度です。
対象は、中皮腫や肺がん、一定以上の障害を伴う石綿肺などを発症した建設作業員(一人親方を含む)やその遺族です。
給付額は病状などにより段階的に定められ、最大で1,300万円が支給されます。
申請の基本ステップと時効への注意

各制度の申請手続きを円滑に進めるためには、以下の流れを意識しましょう。
- 情報の整理:過去の職歴(時期、場所、作業内容)を整理
- 専門機関への相談:労働基準監督署や、支援団体に相談
- 書類の作成・提出:医師の診断書や職歴の証明書類を揃えて申請
特に注意したいのが、各制度に設けられている請求期限です。
主な時効の目安を以下の表にまとめました。
| 制度名 | 主な事項・請求期限 |
|---|---|
| 労災保険 | 給付の種類により2年または5年 |
| 石綿健康被害救済制度 | 疾病・死亡時期ごとに異なるため、個別に確認が必要 |
| 建設アスベスト給付金制度 | 病状確定や死亡から20年(一部例外あり) |
※制度や給付の種類によって詳細な起算日が異なります。
過去には時効で救済を受けられなかった方を対象とした特例もあり、条件は非常に複雑です。
期限が過ぎるおそれがあるため、心当たりがある場合は速やかに動き出しましょう。
まとめ
アスベスト被害は、曝露から発症まで30〜50年経ってから現れることも珍しくありません。
当時の記憶が曖昧であったり、会社が倒産していたりしても、制度上の申請は可能です。
労災保険、救済制度、建設給付金のどれに該当するかで、補償額は大きく変わります。
利用できる制度は人によって異なるため、まずは最寄りの労働基準監督署や支援団体など、信頼できる機関に相談してみましょう。
出典
- 厚生労働省「アスベスト(石綿)に関するQ&A」
- 政府広報オンライン「石綿による健康被害を受けたかたへ」
- 独立行政法人環境再生保全機構「アスベスト(石綿)健康被害救済給付の概要」
- 厚生労働省「建設アスベスト給付金制度について」