お知らせ
2025.11.19
アスベストの健康被害とは?家庭で知っておきたいリスクと安全対策
「アスベストは、深刻な健康被害をもたらす物質」
と聞いたことはあっても、実際にどんな病気の原因になり、どのように対処したらよいかを知っている人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、アスベストの健康被害に関する正しい知識と、安心して暮らすための対応方法をやさしく解説します。
アスベストはなぜ危険なのか?「静かな時限爆弾」と呼ばれる理由

アスベストは、耐火性・断熱性などに優れている鉱物繊維として、1950〜1970年代にかけて多くの建物で使用されました。
しかし、その繊維は肉眼では見えないほど細かく、空気中に舞い上がると容易に吸い込んでしまうリスクがあります。
吸入した繊維は体内で分解されにくく、長い年月を経て健康に悪影響を及ぼすことがあるため、「静かな時限爆弾」とも呼ばれているのです。
特に、建物の老朽化やリフォーム時に建材が破損・削られることで、繊維が空気中に飛散するリスクが高まります。
アスベストが固形化していれば危険性は低いものの、扱い方を誤ると健康被害につながり大変危険です。
アスベストによる深刻な健康被害と潜伏期間の特徴

アスベストによる健康被害の主な原因は、繊維の吸入です。
長期間にわたって高濃度のアスベスト粉じんを吸い込むと、以下のような重篤な病気を発症するおそれがあります。
- 石綿肺(じん肺):肺が繊維化し、呼吸機能が徐々に低下する病気
- 肺がん:喫煙とアスベスト曝露が重なるとリスクが高まる
- 悪性中皮腫:肺や腹部を覆う膜に発生するがんで、アスベスト曝露が主因
- びまん性胸膜肥厚:胸膜が広範囲で厚くなる病気で、呼吸がしづらくなる。長期間のアスベスト曝露が原因とされる。
これらの病気は、潜伏期間が10〜50年と非常に長いのが特徴です。
ただし、短期間の軽い接触や、一般家庭で通常の生活を送っている程度では、リスクは極めて低いとされていますので、過度に恐れる必要はありません。
家庭でのアスベストリスクの判断基準と部位

ご自宅でアスベスト含有建材が使われているかどうかは、建物の建築年代と使用部位が判断の目安になります。
- 2006年9月以前に建てられた建物:アスベスト含有建材が使われている可能性あり。
- 屋根材(スレート)・外壁材・天井・床下・断熱材などに多く使用されてきた。
多くの一般住宅で使用されている非飛散性アスベスト建材は、セメントなどで固形化されており、飛散の心配はほとんどありません。
問題となるのは、劣化やリフォームによって粉じんが発生するケースです。
家庭で古い建材にヒビや崩れが見られた場合や、DIYで建材を削る予定がある場合は、必ず手を加える前に専門業者や自治体に相談しましょう。
アスベストの有無が心配な場合の調査・相談方法

自宅にアスベストが使われているか心配な場合は、専門家によるアスベスト調査を依頼しましょう。
2023年10月の法改正により、解体・改修工事では有資格者による調査が義務化されています。
都分析は、規制が厳格化される以前から20年以上“安全”を徹底してきたアスベスト調査のエキスパートです。安心してご相談ください。
調査の流れは以下の通りです。
- 書面調査:建築図面からアスベスト使用の有無を確認
- 目視調査・サンプル採取:現地で確認し、疑わしい建材があればサンプルを採取
- 分析調査:必要に応じてサンプルを分析し、アスベストの有無や含有量を正確に検査
自治体によっては、補助金制度が設けられています。詳しくは、関連記事をご覧ください。
(関連記事:【必見】アスベスト調査費用の相場と補助金|公的情報に基づき解説)
健康被害が心配なときの相談・支援制度

- 独立行政法人環境再生保全機構「石綿健康被害救済制度」:
アスベストに起因する健康被害を受けた方を対象に、医療費や療養手当などの給付を行う制度。
労災保険の対象とならない一般住民の方も対象 - 保健所:
アスベストに関する健康相談窓口を設けている - 労働基準監督署:
業務での曝露が考えられる場合、労災補償の対象となる可能性がある
不安を感じたら、以上のような公的機関へ相談し、適切な情報とサポートを得ることが重要です。
まとめ
アスベストの健康被害は、長期間にわたる高濃度での吸入が主な原因であり、一般家庭の生活環境で急激に健康被害が出ることはほとんどありません。
大切なのは、「知らないまま放置しないこと」と「正しい対策をとること」です。
アスベストは飛散しなければ危険性は低く、調査や相談を通じて安全性を確認すれば、安心して生活できます。
もし不安を感じた場合は、専門家や自治体に相談し、確かな情報をもとに行動しましょう。
出典
- 厚生労働省:「アスベスト(石綿)に関するQ&A」
- 政府広報オンライン:「石綿による健康被害を受けたかたへ。「石綿健康被害救済制度」があります」
- 独立行政法人環境再生保全機構:「アスベスト(石綿)による健康被害救済給付の概要」