お知らせ
2026.10.10
台風シーズン後に確認したい建物のアスベスト対策|破損・雨漏り・剥離が見つかったときの初動
こんにちは。アスベスト調査・分析のプロ、都分析の福田です。今回は、台風や豪雨の後に建物の外壁・屋根・天井などに破損や雨漏りが見つかったとき、どのようにアスベスト対策を進めればよいのかを解説します。
災害後は、建物の安全確認や応急復旧が優先されます。一方で、損傷した建材に石綿(アスベスト)が含まれている場合、触る・削る・掃くといった行為が飛散につながるおそれがあります。見た目だけで石綿の有無を判断することはできないため、まずは人を近づけないこと、状況を記録すること、専門家へ相談することが大切です。
台風・豪雨の後にアスベストの確認が必要になる理由
台風や豪雨では、強風による外壁材・軒天材・屋根材の破損、浸水による天井材の落下、配管や設備周辺の内装材の剥離などが起こる可能性があります。建物の一部が損壊すると、これまで覆われていた建材が露出したり、復旧工事のために建材を取り外したりする場面が生じます。
環境省は、災害時には石綿含有建材が倒壊・損壊によって外部に露出することや、被災建築物の解体・廃棄物処理が集中することから、平常時以上に石綿の飛散・ばく露が懸念されると案内しています。1
ただし、古い建物だから必ず石綿が含まれる、あるいは見た目が白っぽいから石綿だ、という判断はできません。建築時期や建材の種類、設計図書、改修履歴などを確認し、必要に応じて有資格者による事前調査や専門機関での分析を行う必要があります。
破損した建材を見つけたときに最初に行うこと
1. 破損箇所への立ち入りを制限する
天井材が落ちている場所、外壁材が剥がれている場所、粉じんが見える場所には、必要以上に近づかないようにします。施設の場合は、利用者や従業員の動線から外し、管理責任者が立入制限を判断してください。
被災建築物の周辺で作業する場合は、石綿を吸い込まないための防じん対策も必要です。通常のマスクで十分とは限らないため、作業を始める前に自治体や専門家へ確認しましょう。
2. 触らず、削らず、掃除機で吸わない
破損した建材を手で拾う、ほうきで掃く、家庭用掃除機で吸う、水をかけてこする、原因を確認するために削る、といった自己判断の作業は避けてください。建材の種類が分からない状態で動かすと、粉じんを広げる可能性があります。
安全確保のために移動が必要な場合でも、作業方法や保護具、廃棄物の扱いを専門家に確認してから進めることが重要です。
3. 状況を写真と記録で残す
安全な場所から、次の内容を記録します。
- 建物の所在地と用途
- 破損・剥離・落下・雨漏りが見られる場所
- 建材の種類が分かる場合の名称
- 発見日時と台風・豪雨との関係
- 立入制限や応急措置を実施した日時
- 復旧工事・修繕工事の予定
写真を撮るときは、危険箇所へ近づくことを優先しないでください。既存の図面や過去の調査報告書がある場合は、写真と一緒に保管します。
信頼あるアスベスト分析会社へ相談するときに伝える情報
アスベスト調査会社や分析会社へ相談する際は、「台風で壊れた」という情報だけでなく、工事の範囲と時期まで伝えると、必要な確認を整理しやすくなります。
特に、次の情報を準備しておくとスムーズです。
- 建物の所在地、用途、築年、構造
- 破損した部位と現在の状態
- 建物図面、仕上げ表、改修履歴
- 過去のアスベスト調査・分析報告書の有無
- 応急復旧、修繕、解体などの予定
- 発注者、管理会社、施工会社の連絡窓口
復旧工事で建材の撤去・切断・穴あけなどを行う場合は、工事対象となる材料について事前調査が必要になることがあります。厚生労働省は、建築物の解体・改修・リフォームなどでは、対象となる全ての材料について文書と目視による事前調査を行い、結果を記録・保存する必要があると案内しています。2
都分析が提案する災害後のアスベストの対策
災害後の対応では、いきなり試料を採取するのではなく、まず現場の状況と資料を確認し、どこにどのような調査が必要かを整理することが大切です。
株式会社都分析では、官公庁、大手ゼネコン、病院、学校などの案件に関わってきた経験を背景に、建物の状況、工事範囲、関係者の役割を確認しながら、アスベスト調査・分析について相談を受けています。必要に応じて、次のような流れで進めます。
- 現場の損傷状況と図面・改修履歴の確認
- 工事範囲と調査対象建材の整理
- 有資格者による事前調査の実施
- 必要な場合の試料採取と分析
- 調査・分析結果の報告書作成
- 発注者・管理者・施工会社への情報共有
実際に必要な調査方法、対応日程、費用は、建物の状態や工事内容によって異なります。災害直後であっても、緊急対応の可否や現地確認の時期は個別判断となるため、まずは状況を整理してお問い合わせください。
台風後に確認するアスベスト対策チェックリスト
最後に、建物所有者・管理者が確認しておきたい項目をまとめます。
- ☐破損・落下・剥離・雨漏りの場所を記録した
- ☐危険箇所への立入を制限した
- ☐建材を触る、削る、掃くなどの作業を止めた
- ☐建物図面・改修履歴・過去の報告書を確認した
- ☐復旧工事の範囲と着工予定日を整理した
- ☐自治体、施工会社、アスベスト調査会社へ相談した
- ☐調査結果や写真を関係者で共有できるようにした
台風後のアスベストの対策は、特別な作業を急いで始めることではありません。まずは二次被害を防ぎ、現場を不用意に動かさず、必要な情報をそろえて専門家につなぐことが第一歩です。
よくある質問(FAQ)
Q. 台風で天井材が落ちた場合、触ってもよいですか?
A. 建材の種類や石綿含有の有無が分からない場合は、できるだけ触らないでください。周囲の立入を制限し、安全な場所から状況を記録したうえで、施設管理者、施工会社、自治体、アスベスト調査会社などへ相談してください。
Q. 雨漏りだけでもアスベスト調査が必要ですか?
A. 雨漏りがあるだけで、直ちに全ての建物に調査が必要と決まるわけではありません。ただし、雨漏りの修繕に伴って天井材や壁材を撤去・切断する場合は、工事対象となる建材の事前調査が必要になる可能性があります。工事範囲と建材を確認して判断してください。
Q. 災害後の調査・分析はどの程度の期間でできますか?
A. 建物の規模、損傷状態、調査範囲、資料の有無、分析項目によって異なります。希望する復旧時期がある場合は、所在地、破損箇所、工事予定日を伝え、調査・分析会社へ早めに相談することをおすすめします。
まとめ
台風や豪雨の後に建材の破損や雨漏りが見つかった場合、アスベストが含まれているかを見た目だけで判断することはできません。破損箇所を不用意に触らず、立入を制限し、写真や図面などの情報をそろえて専門家へ相談しましょう。
大阪府では、石綿を使用した建築物等の解体・改造・補修工事について、発注者と施工者が関係法令に基づく責務を果たし、飛散防止対策を徹底するための情報提供を行っています。3
災害後の復旧を安全に進めるためにも、信頼あるアスベスト分析会社やアスベスト調査会社に、できるだけ早い段階でご相談ください。
この記事の執筆者・監修者
福田 賢司(株式会社都分析 代表取締役)
【プロフィール】
2005年の「石綿障害予防規則」制定当初よりアスベストの測定・分析業務に従事。
20年以上の実務経験と高度な専門知識を有するスペシャリスト。第一種作業環境測定士、特定建築物石綿含有建材調査者など多数の国家資格・認定を保有。
「人と都市の明日を守る」をモットーに、株式会社都分析を設立。著書に『「知らなかった」では済まされない!アスベスト調査の新常識』など多数。
メディア出演や行政での講演実績も豊富。
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