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2024.12.23

アスベストはどのくらい飛ぶ?飛散範囲と健康への影響

飛散したアスベストを吸引すると人体に危険を及ぼすことが明らかになっており、現在は使用が禁止されています。

一度飛散すると、目に見えない微細な繊維が空気中を漂い、知らないうちに吸い込んでしまう危険性があります。

今回の記事では、アスベストがどのくらい飛ぶのか、飛散の範囲やそれが健康に与えるリスクを詳しく解説します。正しい情報を知り、安全を守りましょう。

アスベストは飛散しやすい物質

アスベストは「石綿」とも呼ばれる天然の鉱物繊維で、非常に細かい繊維状になっているのが特徴です。アスベストの繊維は直径が0.02~0.03ミクロンと、人の髪の毛の約5,000分の1の細さです。手で触れただけでも簡単に崩れ、長期間にわたって空気中に浮遊する特性があります。そのため、一度飛散した場合、その影響は広範囲に及ぶのが怖いところです。

アスベストはどのくらい飛ぶ?

アスベストが飛散する範囲は、使用されたアスベストの種類、使用量、作業工程、立地環境、天候等によって大きく異なります。例えば、屋内でアスベストが壁や天井に使われていた場合、改修時に局所的な高濃度飛散が起きることがあります。一方、屋外では解体現場の風下にアスベストが広がり、数百メートル先でも検出される場合があります。

アスベストの飛散距離に関するデータ

アスベストの飛散距離に関して、日本肺癌学会の『環境中に飛散した石綿はどこまで影響が及ぶか』という論文には、以下のような記述があります。

  1. ロンドンのアスベスト製造工場
    約800メートル以内の居住者で中皮腫の発症リスクが有意に増加しました。この研究は、工場周辺地域での影響範囲を具体的に示した初期の報告です。
  2. 南アフリカおよびヨーロッパの鉱山や工場
    アスベスト鉱山や製造施設、造船所の周囲1,000〜2,000メートルで中皮腫リスクが高まることが確認されています。
  3. イタリアのアスベストセメント工場
    この研究では、影響が2,500メートル以上の範囲にも及ぶことが報告されました。
  4. 兵庫県尼崎市のアスベスト工場
    閉鎖されたセメント管製造工場周辺での調査では、工場から約1,500メートル離れた地域でも中皮腫の死亡リスクが有意に高いことが判明しました。

これらの結果は、アスベストの飛散が工場周辺の広範囲にわたって健康リスクをもたらす可能性を示しています。

諸条件によって飛散距離は大きく異なりますが、アスベストは数十~数百メートルではなく、数千メートルの範囲を考慮する必要があります。

飛散したアスベストが健康に与える影響

アスベストの飛散は、人体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。その健康被害の特徴と発症までの期間について見ておきましょう。

  1. 石綿肺(じん肺)
    アスベスト繊維を長期間吸入することで、肺が線維化し、呼吸機能が低下する疾患です。
  2. 肺がん
    アスベスト曝露により、肺がんのリスクが高まります。特に喫煙者は、非喫煙者と比べてリスクが著しく上昇します。
  3. 中皮腫
    胸膜、腹膜、心膜などの中皮細胞に発生する悪性腫瘍です。アスベスト曝露が主な原因とされています。
  4. びまん性胸膜肥厚
    胸膜が広範囲に肥厚し、呼吸機能が低下する疾患です。

これらの疾患の中でも、特に中皮腫はアスベスト特有の疾患として知られており、アスベスト曝露との因果関係が強いとされています。

また、アスベスト関連疾患の大きな特徴は、曝露から発症までの期間が非常に長いことです。かつてアスベストを扱う仕事に従事していた方や、ご家族の方は、定期的な健康診断を受けることが重要です。

まとめ

今回の記事では、アスベストはどのくらい飛ぶのか、その飛散距離や健康リスクについて紹介しました。

アスベストは目に見えない微細な繊維状の鉱物で、空気中に飛散して吸い込むことで深刻な健康リスクを引き起こします。その飛散範囲は、屋内外の環境や風速、作業内容などによって異なりますが、数メートルというわけではなく、過去の調査では2キロ以上の距離があっても影響を受けていることが分かっています。

アスベストの健康被害は中皮腫や肺がんといった重篤な病気に繋がり、発症までに数十年の潜伏期間があることも知られています。

正しい知識と行動が、私たち自身や周囲の人々の健康を守る鍵です。アスベストの危険性と飛散距離を正しく理解し、過去にアスベストが飛散する危険エリアで過ごしていなかったかどうかチェックしてみましょう。

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