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2025.12.26
アスベスト禁止は本当に安全?日本と世界の使用状況や注意点を解説
日本では、健康被害の深刻さから使用が禁止されているアスベスト。
規制が当たり前のように思われている一方で、2025年現在もアスベストの採掘や使用を続けている国があります。
本記事では、日本と世界のアスベスト使用状況、なぜ禁止が進まない国があるのか、そして私たちの生活に残るリスクと対策について解説します。
世界のアスベスト対策の現状

国際団体の集計によると、2025年時点でアスベストの製造・使用を法的に禁止している国は、約70か国です。
欧州連合(EU)やオーストラリアなど、早くから健康被害を重視して全面禁止に踏み切った地域もあります。
一方で、ロシアや中国など、一部の国では依然として採掘や使用が続いています。
多くの国で規制が進んでいるのは事実ですが、完全にゼロになったわけではなく、国際的な問題として今も影響が続いているのが現状です。
なぜアスベストの禁止が進まない国があるのか?

アスベスト禁止が進まない最大の理由は、経済構造です。
ロシアやカザフスタンは世界的なアスベスト採掘国であり、代替産業への転換には大規模なコストが伴います。
また、中国やインド、東南アジアの一部では、価格の安さや耐久性を理由に建材として使われ続けているのが実情です。
健康被害は国境を越えるため、国際的なリスクは今後も続く可能性があります。
特に、アスベスト関連疾患は発症までに長い潜伏期間があるため、今後も世界規模で患者数が増える懸念があります。
日本のアスベスト禁止は2012年に完全実施

日本では、以下のように段階的に規制が強化されてきました。
- 1975年:吹付けアスベストの原則禁止
- 1995年:毒性の高いアモサイト(茶石綿)とクロシドライト(青石綿)の製造・使用禁止
- 2004年:アスベスト含有率0.1重量%を超える製品の製造・使用が原則禁止
- 2006年:猶予されていた特定製品を含む、ほぼすべての用途でのアスベスト含有製品(0.1重量%超)の製造・使用が禁止
- 2012年:事実上すべての用途でのアスベスト含有製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が完全に禁止
ただし、禁止以前に建てられた建物にはアスベストが使用されており、今後も解体・改修時には注意が必要です。
日本でのアスベストリスクと注意すべきポイント

日本国内でも、「アスベスト禁止=完全に安心」というわけではありません。
以下では、注意すべきポイントを整理します。
日常生活では一般的にアスベスト被曝リスクは低い
日常生活において、古い建材が使用されている建物の近くを通っただけで、重大な健康被害が起こる可能性は極めて低いです。
アスベスト関連疾患は主に、高濃度の粉じんを長期にわたって吸い込み続けた場合に発症します。
一般的な住居で建材が損傷していなければ、過度な心配は不要です。
日本に残るアスベスト建材と注意点
規制以前、特に1960〜2006年頃に建てられた住宅や建築物には、アスベストが使用されている可能性があります。
使用可能性がある建材の代表的な例
- 屋根材(スレート材)
- 外壁材(サイディングボード)
- 内装の天井材・床材
- 特定の吹付け材(ボイラー室、駐車場など)
建材がセメントなどで固められた非飛散性建材で、損傷していない状態であれば、大きな危険はありません。
しかし、以下の状況では繊維が空気中に舞い上がるリスクが高まります。
- リフォーム・解体時:壁や天井を削る、穴を開ける、壊すといった工事を伴う場合
- 建材の劣化:経年により、屋根材や外壁材が破損・崩壊した場合
- 地震や火災などの災害時:建物が大きく損傷し、建材が破壊された場合
日本では、建物の解体や補修を行う場合には、有資格者によるアスベスト調査が法令で義務付けられています。
都分析は、規制が厳格化される以前から20年以上“安全”を徹底してきたアスベスト調査のエキスパートです。安心してご相談ください。
海外からの輸入製品による混入リスク
世界でのアスベスト使用継続により、輸入品にアスベストが混入する可能性も否定できません。
過去には中国製の珪藻土バスマットやコースターからアスベストが検出され、日本国内で大規模なリコールが行われた事例もあり、国内の水際対策だけでは完全に排除することが難しいのが現状です。
(関連記事:珪藻土にアスベストが!?バスマットやコースターの混入問題と見分け方)
リスクを抑えるためにも、消費者として信頼できるメーカーや販売元から購入する意識を持ちましょう。
まとめ
日本ではアスベストの使用が禁止されていますが、世界ではまだ採掘・使用を継続している国があります。
アスベストの健康被害に国境はないため、今後もリスク対処のための国際協力と情報共有が欠かせません。
非飛散性アスベスト建材は、損傷していなければ吸入リスクは一般に低いとされていますが、解体・改修・災害時には注意が必要です。
過度な不安を抱かず、気になる場合は専門家に相談しながら、安心できる住環境を維持していきましょう。
出典
- 国土交通省:「アスベスト対策Q&A」
- 全国労働安全衛生センター連絡会議:「違法な石綿(アスベスト)含有品の流通・輸入は珪藻土バスマットだけの問題ではない、全面禁止の履行確保は未解決の課題」
- International Ban Asbestos Secretariat:「Current Asbestos Bans」
- Asbestos.com:「How Asbestos Is Used Worldwide」